両手いっぱいに芋の花を

2022年 最も感銘を受けた作品を紹介したい

「両手いっぱいに芋の花を」 開発:Pon Pon Games 様

Steam ストアページ  Switch ストアページ

2022/12/10 までセール中なので是非遊んでみて下さい。

※はじめに※

本稿はこのゲームの何がすごいのかを語りたい!という趣旨で執筆しています。

そのためゲームに関する俗語、専門用語が多くなりますがご容赦ください。


1. ゲームの紹介

所謂、3DダンジョンRPG、ダンジョンクロールと言われるタイプのゲーム。

ウィザードリィ系と言えば分かりやすいだろうか。最近で言うと世界樹?もう世界樹も最近じゃないかな。

ストーリーなどの詳細はストアページを見て下さい。

Steam ストアページ

 

こういう人にオススメ!

・歯ごたえがあるゲームが好き

・パズル好き

・ダンジョンRPG好き

・収集好き


2. 何が凄いって…?全部だよ!

全てにおいて作りが丁寧で素晴らしい出来の本作

細かい部分は後で語るとして、総評すると以下の2点が素晴らしい。

 

・ダンジョンクロールの正当進化 + モダナイズ によって新しいジャンルを生み出した

・カジュアル感とやりごたえの両立という矛盾を絶妙なバランスで成しえた名作

 

ダンジョンクロールの美味しいところは損なわず、でも味わいやすくといえば伝わりやすいでしょうか。

 

なんでそう思うかってのをこれから語っていきます。

色々な要素が一つとして欠けていたら成り立っていない。

すべての要素を丁寧に作り上げた作者さまの偉業に感謝。圧倒的感謝。

ネタバレは出来る限り無いように語るつもりだけど、

もし何かあったらごめんなさい。心配な方は先に買ってクリアしてから読んで下さい。

大丈夫、絶対面白いから!

 

あ、保険みたいでアレですが、ここに記載されているのは全て筆者が勝手に解釈していることで

制作者の方がどう考えていらっしゃるかとは一切関係がないことはあらかじめご理解下さい。


3. カジュアル感 ⇒ 適切なストレス排除

・通常エンカウントを廃止、モンスターのオブジェクト化

ダンジョン探索、パズル部分をじっくり楽しむことが出来る

どこまで探索するか、ここは戻ったほうがいいか?というジレンマは無くなるが

そこを次項目でうまくゲームとして調和させている。

 

・ショートカットの整備

ある一定の敵集団を倒した先に必ずショートカットが用意されている。

一方通行の扉や、スイッチによる橋の開通など。

これには次の機能がある

1.一度クリアしたところは飛ばせる(普通のショートカットとしての意味)

2.この敵まで倒せれば進捗がある!というプレイヤーの期待感

本作が特に凄いと思うのは、2によって通常エンカウントによるどこで引くかの緊張感を

別の形で実装出来ていること。

 

加えて、段階的に踏破エリアが増えて行っていることを実感できることが新しい。

従来のマッピングによる踏破の実感もあるが連続的であって

節目となる部分(より深層へ、ボスの撃破、など)でしか進捗を感じづらかった。

本作の場合はこれを敢えて不連続*(って表現があってるのか怪しいがw)にすることで

プレイヤーが踏破、成長を感じやすい構造つまり達成感が定期的に訪れるのが素晴らしい。

*従来は線形で、芋の場合はタクシーメーターみたいなイメージ といえば伝わりますでしょうか。

正確には新しいというか、ここまで極端なデザインにしたことが現代的 ってほうがいいのかもしれない。

 

・踏破エリアの難易度低下

ショートカットを使うことで、オブジェクトの敵に横または背後から接敵できるようになり

これによって必ず先制攻撃が出来るようになっている。

一度攻略した敵はより楽に経験値稼ぎやドロップ掘りが出来るようになり

プレイヤーが任意で行う難易度緩和策をやりやすくしてくれている。

ハクスラ部分(悪く言うと無心での作業?)を黙々とやる

ダンジョンクロールの楽しさをいい感じに残してくれているのかなと感じた。

個人的には側面でも全て先制攻撃になるの、かなり思い切ってるなぁと思いました

 

・敵のレベル表示

敵のレベルが表示されていることで、この敵はまだ無理だなといった判断が容易。

突然やられるといった理不尽感が無い。あくまでプレイヤーが高レベルの敵に挑戦してやられる形で

納得感と進捗の目安が明確である。

 

・レベル差による経験値

経験値が敵とのレベル差で入るためパワーレベリングが容易。

後述だがパーティー構成によって戦略が多様な本作で、色々な構成を試す際に

レベル上げが楽なのはとてもよかった。

このお陰で「ボスで詰まったからちょっと構成を変えて試してみるかー」といったことを気軽に行える。

レベル上げ作業は本作では頑張らないでいいよーというメッセージなのかもしれない。

もちろん、キャラ育成にこそ美学があるゲームもあるからレベル上げだるい、と一概には言えないが
本作ではこの簡便さが非常にマッチしていると思うのである。

 

また、このレベル差制経験値の副次効果として

ゲームの難易度デザインがしやすいこともあげられる。

(作る側としてはもしかしたらこっちのほうが重要かもしれない)

フロアに設置する敵のレベルによってフロアボスとの戦闘を

最大何レベルで行われるかを制御できるからだ。

これには逃げ道もあり、後述のFOEは高レベルで配置されていることもあるので
どうしてもボスに苦戦するようであればFOE回しをすればレベルを上げて挑むことも可能である。

4. やりごたえの担保 ⇒ メリハリのあるストレス

・強力な敵

敵が相当強い。ガードせずに2発殴られたらやられるぐらいのバランス。

これだけ聞くとクソゲーっぽいが、攻撃対象やアクションを表示させることで

プレイヤー側がちゃんとやれば対処できるようになっている。

通常のRPG戦闘というよりは、どちらかというとパズルっぽい割り切った作りなのが斬新であり白眉。

このバランスだからこそ限られた数の敵でも緊張感がある戦闘が実現出来ている。

 

・FOE(中ボス)の配置

赤いオブジェクトの初見でそこに来たときには倒せない敵を配置。

世界樹のFOEみたいな感じ。世界樹の場合はこいつからうまく逃げるのがゲーム性だったが

本作では基本的に初見は通行止めと一緒。どの段階で挑戦するかもプレイヤーに委ねられていて

ダンジョン探索の楽しさに花を添えている。

 

もちろん倒したときのご褒美もあって、ドロップ品による新装備の制作や

先にある宝箱にも強い装備が入っていたりする。

 

・特徴のある職業、装備選択

各職業に得手不得手があり、お互いを補完しあわないと戦闘に勝てないようにデザインされている。

また、ある職業でも装備によって使用感が大きく変わるところも面白い。

ある程度はデザインで制御されているものの、自分の考えたオリジナルPTを作っている感を

とても強く感じることが出来る。


5. これらを踏まえてのちょっと補足(上記以外の要素)

・HP全快と、ダンジョンクロール時の別リソース

戦闘がパズルっぽいということと強く関係している要素。

すごい割り切り要素だとびっくりしたが、パズルゲーだと考えれば自然。

この舵きりは英断だと思う。

 

じゃあ探索深度に比例して消費するリソースってなーに?となったときに

MPとたいまつが設定されているのも絶妙。(たいまつは若干添え物感あるけどね)


6. 救済措置、プレイヤーによる難易度選択

全体的に難易度が高い本作だが、しっかりと救済措置もある。

・武器強化、装備制作

お金や素材さえあれば装備を強化することが出来るため

多少詰まったとしてもなんとかなる(のだと思う)

自分はあまり強化を使わずにクリアしてしまったので
強化の恩恵は実感できていないので 「のだと思う」 としている

 

・レベル上げ

前述の通り、既にクリアしたエリアであれば構成が分かっている敵に

先制攻撃を取りながら戦闘が出来るので、サクサク倒すことができる。

そのため進めないときもちょっとレベル上げすればなんとかなる。

 


7. 素晴らしい世界観

・ダークエルフちゃん

散々言われているだろうけど、とても良い。可愛いとかそういうのを通りこして尊い。

 

・語りすぎない余白

ストーリーも重すぎず軽すぎず、凄惨なこともあった風な匂わせもあるけど

どこかほのぼのしている雰囲気。兎に角イイ!語彙力がなくて申し訳ない。

 

・遊び心と、何気ない演出

チーフちゃんがダンジョン内で視界に入ると手を振ってくれるのとか、こういう芸コマなの素敵

ダンジョン内のポーズ画面も扉のとこだと向こうをうかがっていたり、キャンプしたり語らずに状況を表してるのが本当に美しい

おまけアイテムを拾うとものが増えていく拠点

多彩なおもしろ被り物

 

・飾らない雰囲気

OP画面が黒バック、戦闘もシンプル だがそれがいい。

 


日本が誇る超名作だと思う。

これこそがウィズの日本的正当進化@2022年

オールドスクールのダンジョンクロールRPGと見せかけた、

新しいゲームシステムへと昇華させた本作「両手いっぱいに芋の花を」絶対遊んで。イヤイヤマジデ。

大事なことだからもう一回貼っておくね

Steam ストアページ

Switch ストアページ

 


蛇足感のあるここはちょっとどうにかして欲しいこと

初期バージョンでプレイしたので今は修正されているかもです。

・同じ見た目のキャラだと区別がつきにくい。ゲーム序盤で被り物が手に入るのでそれで解決はするんだけどね

・マップ開いたとき、他階層の地図がちょっと見づらい(これはアプデで直ったって書いてあった気がする)