Dragon’s Stone (ドラゴンズストーン)

本格派!ファンタジードラフト対戦ゲーム!!

 

※はじめに※

この記事は俗に言うドラフトゲームの用語が分かること前提です。

プレイ環境によって用語が異なる場合もありますが、あらかじめご了承ください。

 

また本稿は  レビューではなく、このゲームのここがすげーんだよ!

というのをメインとし 「そんなに面白いんなら遊んでみたいな」 と

思ってもれれば嬉しいです。

 

ルール詳細は 公式ページ にある各種リンクで把握してから読んでね。


◆すっごい雑なルール説明

・1~4ターンに分かれているラウンドを繰り返し、場に出ている宝石を巡って殴り合い

・勝敗を決めるのは、毎ターンプレイするカード。

・カードにはコストがあり、プレイできるターンが決まっている (一部例外あり)

・ターンごとにプレイしたカードで勝敗を決め、勝者一人がそのターンの該当宝石を獲得する

・誰かが5個(6個だっけ?)宝石を獲得したらゲーム終了。宝石の色によって点数計算し、得点が高いプレイヤーの勝利。

 

【コンポーネントの一部】

※ いくつかバージョンが出ているので、バージョンによっては写真の通りではありません。

 


◆本作の凄いところ

細かいシステム同士のシナジーが素晴らしく、

各種情報が自分と他プレイヤーに直接・間接的に関与しているため

考えどころが多く、かつ考えることが勝利に近づく

非常に濃密なゲームであるのが凄いのです!!

 

同じようなことを何度も書いてる気になってきたなぁ(笑
それだけ好きってことなんですよ!!

◆好きなところ沢山!

 

1. 得点軸の意思決定と、他プレイヤーの指針予想

勝利点は宝石集め。

得点の軸は2種類 (色染め・全種類集め)あり、

単純に効率が良いのは色染めだが、全種集められると高得点になってしまう。

 

このシステムが素晴らしいのは2点

 

1-1. 自分の方針を立てられる

2ラウンド目以降の話になるが、

自分が既に獲得している宝石の色と、場の宝石状況を鑑み

どのターンに重点を置くのが良いかという重み付けをしつつ

ドラフトを行うことが出来るところ

 

1-2. 他プレイヤーの方針を予測する材料になる

そして、誰がどの色の宝石を持っているかが公開情報なので

他プレイヤーがどの宝石が欲しいか、つまり 「どのターンに全力を出してくるか」

の予想が可能になっている点が秀逸。

 

全ターン勝利するのは難しいので、

どこで全力を出すか + あわよくばここでも取れるように という動きが必要になってくる。

ドラフトゲームでよくある、「結局強いカードとっとけばいいんでしょ」 という

わけには行かないところがとても楽しい

 

もちろん受け幅が広くてとりあえず取っておけば
その後のドラフトがやりやすい、っていうカードがあることはあるんだけど
きちんと戦闘力やその他制約による、デメリットが付与されているので納得感高い

2. カードコスト + 欲しい宝石 による指針の提示

自分が強いカードを出すターンを、ある程度決められる。

1-2. で触れたことと少しかぶってしまうが、これによって

相手が欲しいであろうターンの予測も可能となる! というところ

 

「2ターン目は自分が勝ちたいから、このカード渡すとまずいよなぁ」

「このカードは強いけど、赤はあまり出回ってなかったから回しても使われないだろう」

 

上記のように、ドラフト時の様々な思惑が錯綜し、遊んでいてとても楽しい。

本作で一番好きなところの一つ

 

(下図は3ターン目のプレイ中写真)


3. 「マナカーブ」 と 「お金」

・マナカーブ

カードプレイにコストが必要で、強いカードほど多くのコストが必要

そして、ここがまた良く出来ているとこなのだが、

自分が使えるコストは 「それまでプレイしたカードの色」 によって表現されており、

これによって2つの効果が実現されています。

 

3-1.強いカードをピックして、実際に使うには前提条件とするためのカードをピックする必要がある

単なる1:1の条件ではなく、色だけでよいので受け幅が比較的広いのも○。

プレイに対するストレスが過度ではなく、非常に良いバランスで実装されている。

 

3-2. ターンプレイ時に他プレイヤーがプレイできるカードが絞り込まれる

多くのコストが必要なカードは、おのずとそれまでのプレイカードで予測が可能になるので

「あのカードは回ってたけど、もう誰もプレイ出来ないからこのカードで勝てそう!」

といった、プレイ中の変化、そもそものプレイに意味を持たせることに成功している。

ドラフトというシステムの課題として、ドラフト自体がゲームになってしまい
その後のプレイがおまけになってしまうという課題を解決している。

 

・お金

上記前提(マナカーブによるカード使用)をくつがえす 「お金」 というリソースがあることで

そのターンには従来プレイ出来るはずがない強いカードをプレイできる状況も作り出せるように設計してあります。

これによってイレギュラーな読み合いと、プレイ中の機微を実現しています。

 

これだけ聞くとお金が強いんじゃない?となりますが、

まず、お金が見えているので金額に応じて警戒すべきカードが分かるという点と、

お金を溜め込むことへのリスクとなるカードも多数用意されている点から、

結果それだけでは勝てないようなバランスになっています。

 

強いて言うと、個人的には露骨なメタカードの実装ではなく、
もう少しお金を得ることに労力が必要、もしくはあらかじめ見せて置いてアンチとなるカードのような方が好み
ぶっぱが通るか通らないかの読み合いよりも、下準備の段階で見えたほうがいいかなぁとか?
ここはプレイヤーの個人差の問題なので、大して問題視はしてないです。

4. 小さい勝負の繰り返しで、常に緊張感がある

完全に好みの問題だが、拡大再生産のようなゲームでは最初の数ターンをプレイした時点で

勝敗が決してしまうことが多い。少しリードしたからといってラウンドごとにしっかりピックしないと

足をすくわれてしまうことも多々。常にほどよい緊張感でゲームを楽しめる。

 

いや、だから 「拡大」 再生産 っていう訳なんだけどね。
常に勝負してたいんですよ、私は

◆ゲームリプレイ

公式サイトにゲームのリプレイがありました。

リプレイ (1)

リプレイ (2)

リプレイ (3)

 

プレイヤーがどういう思惑で動き、どういうプレイになるか参考になると思います。

というものの、これ読んだだけじゃあ面白さが伝わらないと思うので、

ゲーマー4人で集まってプレイして下さい!絶対損させないから!!


◆この辺は人を選ぶかも…

ここからは強いて挙げればの懸念点や、ドラフトそのものが持つ課題感などです。

 

・やりこみ前提のつくり

良いところでも述べたように、カードの構成やメタカードの存在とそのプレイ条件(コスト、ターン数)など

楽しむためのハードルが非常に高いところ。

これはドラフトゲームというシステム自体の課題でもあるのだが、

カードシナジー前提の作りとなることが多い (し、それが面白い)ため、

どうしてもカード能力が複雑になりがち

 

・ドラフト部分がやっぱりメイン

これもしょうがないことなんだけど、ピック後のカードプレイ部分で

プレイの仕方によってなかなかひっくり返せない。

前述のお金が良いアクセントっていってはいるんだけど、

全員分かっている状態だと、なかなか通すの難しいのよね。

好みの問題もあるけど、プレイ幅を広げるためのお金システムなんだから

メタカードよりの調整ではなく、もうちょっと獲得条件をきつくしてその分メタを減らすとか

そういう方向性のほうが好みかなー、いやほんとに強いて言えばなんだけどね。

 

たぶん散々調整された後の結果だろうから、これでいいんだろうと言い聞かせる。
結局最終的なさじ加減はデザイナーの好みだし、それでいいと思うんだよね。

 

・宝石ピックが運ゲーかなぁ?

ラウンドごとに並ぶ宝石は袋からランダムに取るんですね。そう、完全ランダム なんです。

宝石の位置や色をハックするカードもあるものの、

自分が狙っているのがあまりに来ないとちょっとげんなりする。

まぁそのへんの運否天賦も含めて、ゲームのあやで楽しいんだけどねー。

自分は割りと好きな調整だけど、人によっては運ゲーって思うかも??

 


◆終わりに

個人的にとても好きなゲームだったので繰り返し遊んだ思い出の作品です。

好き過ぎて内容を自分なりに分析し、ノートにまとめていました。

それらを文章として残しておこうと今回の記事に書き留めました。

レビューではなく箇条書きメモみたいになっているのはそのためです。

 

Power9Games さんが本作を出されて、プレイした後

「ドラフトゲームっていろんな課題があるけどこういう解決方法もあるんだなぁ」

「かー、こいつはやられたなぁ、本当に面白いや」 って思っていた矢先!!

 

次作で 「ひつじとどろうぼう」 という全く逆方向の、極限まで敷居を下げたドラフトゲーム

そして、自分が 「Dragon’s Stone」 で感じていた課題感をいくつも解決されていたので

とても感動したのを今でも覚えています。

ひつじとどろぼう はペガサス社から海外版も発売されています!!
Sheep & Thief 

 

最新作 「ドワーフのネックレス工房」 でも少ないカードで表現する新しいゲーム性に取り組まれていて

とても斬新なゲームでした。こちらはまだ手に入りやすいと思うので、是非遊んでみて下さい!

 

はい、以上です。色々小難しいこと書いてるけど、結局何が言いたいっていうと、、、

 

このゲームマジ面白いからみんな遊べ!

 

これだけです!ではでは~


◆基本情報

初出: 2012年 ゲームマーケット秋

出版: Power9Games

デザイナー: Yuichi Sakashita

公式WEB ⇒ http://powernine.blog.fc2.com/blog-entry-48.html