頭部へのトリックテイキング的打撃(仮)- Vol.3

※ 本記事は 「Board Game Design Advent Calendar 2017」 15日目の記事です。

記事は3部構成になっています ⇒  Vol.「1」  Vol.「2」 Vol.「3」(本ページ)


さぁ、いよいよ本題です。去年に続いて前置きが長いですね。

Vol2. で分類した各システムについて、「コントロール性」 「不確定要素」 にどういった影響を与えるのか を考察します。

っと、その前にトリックテイキングに関する 「面白さ」 について少し整理します。


◆ 面白いトリックテイキングの条件 (個人差があります)

あくまで筆者自身がトリックテイキングで面白いと感じている部分です。
皆さん自信に好きな部分を考えていただき、自分が好きな部分を理解し
かつ自分が最高と思うバランスのゲームを作って欲しいです。そしてそれを遊んでみたい!

筆者自身が考える面白いトリックテイキングの条件です。

他にも細かい点は多々ありますが、大枠はこれら3つ。

色々なルールを混ぜてこれらを実現したいと考えています。

 

1. カードプレイに関する制限(コントロール性)

どのカードをプレイするかに工夫の余地があること。

ただ自由に出せてしまうと思い通りにプレイすることで、勝利できる手なりなゲームとなりやすい。

適度な制限をかけることで、2つの面白さが演出できる。

⇒ 制限の中でうまくプレイ出来て勝利した実感

⇒ 制限があることで、相手プレイヤーのプレイカードをある程度予測することが出来た

 

 

2. ルールの強固さ(コントロール性)と、出し抜いた際の快感 (不確定性)

「1. カードプレイ」 でも示したように、ルール(=制限)が強固であればあるほど

それを出し抜いた際の達成感が大きくなる。

更に、プレイ中の状況変化も大きくなるので、ゲーム中の動きがダイナミックになり

ゲーム感、楽しさ、落差によるカタルシスを感じられるようになる。

 

例2-1: 「マストフォローによるプレイスート制限」 からの 「ボイドによる他スートのプレイ」

ボイドによって、想定外の場面で切り札をプレイし通常取れないトリックを獲得する

⇒ 強い制限からの開放と、それによって沢山の勝利点を稼ぐことに成功した。

 

例2-2: 自手札内にあるスート枚数を確認して、他プレイヤーの残り枚数を予測する

自分しか知りえない情報を元に、他プレイヤーの行動を予測可能に。

⇒ マストフォロールールがあるからこそのプレイ予測、それにともない勝利点を獲得しやすくなる。

 

 

3. 毎回違う状況と(不確定性)、それにあわせたプレイング (コントロール+不確定性)

カード配布がランダムであるが故に、絶対的な定石が存在しない。

しかし プレイに関する大まかな方針は存在 しており、そこからどこで相手を出し抜くかを選択できる。

相手が人間であるが故に、最適解以外も実行してくる (ブラフ含む) のが勝負として楽しい。

 

大まかな方針 ⇒ これがないと運ゲー感がまします。適度なコントロール性をスパイスとして付与することが肝要です。
繰り返しで恐縮ですが、あくまで私自身の好みですので、絶対そうしろって訳じゃあないですよ。
コントロール全然出来ないけど面白いトリックテイキングってのも、それはそれで良いと思います。

 

以上の3点にもあるように、コントロール性・不確定性 の配合を適切に行うことで

(デザイン側が意図したプレイヤーにとって)バランスが良いゲームになると考えています。

 


◆ 各項目ごとの整理 (コントロール性・不確定性)

システム導入によって得られる主な効果と、

コントロール性・不確定性に与える影響を表形式でまとめています。

 

ゲーム作成時、各パーツの導入や付け替えの際参照いただけると幸いです。

なお、内容はあくまで私個人の主観なので、ご自身で噛み砕いて改良していただけると

より使いやすいものになると思います。

 

WEB上にまとめようとしたのですが、書くことが多すぎて見づらくなっちゃいそうだったので

見易さ重視の表形式にしました。 こちらの Google スプレッドシート をご覧ください!

※ 全項目は整理仕切れなかったので、順次追記していきます

※ 2017/12/15 追記: 各項目にゲーム例を追記しています。どんなゲームなのか把握するためにお役立て下さい。


◆ 活用方法例

 

【例1 : 対処療法としての使い方】

1. マストフォロー、トリック数=点数 というゲームを制作しているが、ゲーム展開が単調になってしまっている。

⇒ コントロール性が高すぎるのが原因

 

2. コントロール性を下げるために、得点形式を 「トリック数=点数」 から 「獲得カード依存」 に変更

⇒ どのカードを取るかによってトリックをただ取ればよいだけでは無くなったので、単調さが減った

 

【例2 : システム考察としての使い方】

1. マストフォロー、トリック数=点数、切り札アリ(ビッド式) のゲームを制作中、ビッド部分が難しいという意見が多い

⇒ 手札の状態によるビッドの適正値を把握するまで、ゲームが成立しづらいというビッド方式の普遍的課題

 

2. ビッドの適正値が分かりやすいようにするにはどうすればよいか? と考えビッド方法に工夫を加えることを考えるに至る

⇒ 課題がどこにあるのかを明確化することで、どこに集中してアイデアを考えればよいかが分かりやすくなる

⇒ 例えば配布されたカードの中で強いカードにアイコンが書いてあり、その数を初期ビッド値として全員が宣言する、など


◆既存ゲームの分析例 (12/15現在工事中)

 

 

 


【最後に】

小難しくて超絶長い記事を最後までお読みいただき有難う御座います。

 

トリックテイキング作ってみたけど、なんかちょっと違うんだよなぁというような状況になったら

本項目分けを参考に、「このシステムを変更するとこういう効果があるから解決出来そう」 といった具合に

お役に立てないものかなぁと思って執筆しました。

 

これは後付けで最初から意図したわけではないのですが、

ある意味ゲームメイキング記事としてもお読み頂けるのかなと思いました。

 

いろんなトリックテイキングを遊びたいので、皆さんもっとトリックテイキングを作ってください (笑

そうした市況の活性化に少しでもお役に立てれば幸いです。


明日(16日)はいつも素敵なアートを生み出していらっしゃる タンサンファブリーク さん です。

どんな記事がアップされるのか、今からとても楽しみにしています!